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ユニオンという存在 (知らないまま日本流、は通用しません)

最近話題になっているワークシェアリング。 一人が頑張って残業して仕事をこなすのではなく、それを複数の人でこなして、雇用機会を増やそうという試みです。

1982年に政策として立ち上げたオランダのモデルが有名だそうですが、日本でも真剣に検討する時期が到来しているのかもしれません。

ワークシェアリングとは異なる形ですが、アメリカ社会での労働組合(Union:ユニオン)の存在は大きく、たとえばオフィス内での庶務、雑事を担当するという雇用契約にある Union があれば、「彼らの仕事」と定められているものを侵食することは許されていません。

こんなエピソードがあります。

【その1】

短期の研修滞在でアメリカ本社に一月ばかり席を置いて仕事をしていた外資系勤務のK君。 来週からオフィスのレイアウト変えがあるという週末のこと。

 「日本との連絡で急に日曜日のオフィスに出るなんて可能性もあるし、今のうちに自分で引っ越しすませちゃおう。荷物もそんなにないし・・・」

ってなことで、金曜日の夜に移動が予定されている自分の席にパソコンを移動しました。 配線なんてお手のものです。書類やバインダーも運びこんで一時間もかからずに引っ越し完了。 

結局日曜日に出社は無かったのですが、月曜日にオフィスに出てびっくり。 Unionから自分たちの仕事を奪ったということで、K君の所属する部門に賠償請求のクレームがあるとのこと。

確かにオフィス内の清掃、ゴミの収集、電源設置、ケーブル配線、プロジェクターのセッティング、等々、雑用をこなしてくれている「一団」の存在は知っていましたが、それが組合となって会社との間に労働の守備範囲と規約を定めていることなど誰も教えてくれていません。

請求は500ドルから1,000ドルくらいになりそうとのことですが、その金額を聞いてまたビックリ。

そんな金額もらえるなら自分でやるわな、と考えたくなるのですが、これがUnionとの契約上の賠償金的なものも含まれている金額だそうです。

良かれと思ってした行動への仕打ちとしてはあまりに不条理で、K君がっくり。

【その2】

私が参加した結構オフィシャルな会議なのですが、少し早目に会議室に到着。 日本から出張で来ているメンバーは5~6名。

席のレイアウトが教室の様になっているのを見て、日本の誰かが「本社の連中とディスカッションが活発になるように、コの字型(馬蹄形)にしようよ。」と発言。 

「おうっ、正解、正解、そうしよう」と2~3人が机を動かし始めます。 そこへ入ってきた本社のスタッフ。 我々の動きを見てちょっと慌てて机の移動作業を静止し、Union のスタッフを呼ぶのでした。

おかげで会議の開始は15分ほど遅れたのですが、無用なトラブルは回避できたようです。

【その3】

出張時に本社の連中と一緒に訪問した企業の会議室。 

ノートPCを使ってプレゼンテーションを始めようとすると、先方の社員は部屋の電話をとりあげて、配線の依頼。 電話を切って、「ちょっと待っててくださいね。今、Technician (専門家)が来ますから。」と。

そんなぁ・・・、だって、

ビデオケーブルをPCにつないで、スクリーンを下ろして、プロジェクターの電源入れて、プロジェクターのスイッチをアレコレ切り替えて(トライアンドエラーで)PC画面が投影されるのを待てばいいだけでしょ? 日本では普通1~2分で完了していることです。

と、思っていても「あぁ、これはやっちゃいけない仕事なんだな」と即理解しました。

3分ほどで「専門家」の到着、電源の位置を教えてくれて(既にわかっていたけど)、テキパキと配線(ケーブルをPCにつないだだけ・・・・)を済ませ、プロジェクターにPC画面が投影されることを確認し(彼も結局トライアンドエラーで何度もボタン押してたけど)、去っていきました。

丁寧にお礼を言いました。

 

以上、ある人達が契約によって守られている仕事の領域を、他の人が奪うことは許されないというルールの実例です。 

アメリカの全て企業に当てはまるものではないと思います。 日本流に「その場で出来る人がやる。率先垂範で手を動かすことが大事。」という企業文化のところも少なくないはずです。

でも、こんな規範もあるのだということは覚えておいた方が無用なトラブルは避けられるはずです。

一度訪問先の会議室でプロジェクターの移動に手を貸して、運びながら "I hope it is not a violation of the Union policy." と冗談気味に言ったら、周囲にいたある女性は「何の事?」って反応で、一方で別の男性は「大丈夫。ところで君にいくら払えばいいんだ?」と笑いながら反応してくれました。実際少々微妙な話題なのかもしれませんね。

 

どれも3年ほど前の話ですが、今も状況に大差は無いと思います。雇用維持や雇用創出が大きな課題になっている昨今、もしかしたらこのトレンドはもっと強くなっているかもしれませんね。

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